証券会社の高配当ETFランキングを開くと、1489、1577、1478、1651、1494——似た名前がずらりと並ぶ。どれも「配当の多い日本企業にまとめて投資できるETF」なのに、中身はかなり違う。しかも上位の比較記事の中には、決算月や信託報酬を間違えて書いているものもある。この記事では、運用会社の月次レポートとJPXの銘柄概要で数字を一つひとつ確かめながら、2026年11月時点の日本株の高配当ETF5本を比べる。最後に「月いくら欲しいか」から逆算した元本の目安も出すので、買う前の判断材料にしてほしい。
日本株の高配当ETFとは、配当利回りの高い日本企業数十社に1本で分散投資でき、年2〜4回、分配金を受け取れる上場投資信託(ETF)のことです。
高配当ETF5本、結局どれがいい?
「とにかく迷ったら1489、コストを抑えたいなら1478か1651、分配金の安定感を買うなら1494」が、数字を並べたうえでの現実的な答えです。1577は銘柄数が70と最も多いが、信託報酬が5本でいちばん高い0.352%で、1口も約59,310円と買いづらい。1489は純資産約5,780億円で圧倒的に大きく、売買もしやすい。ただし、どれか1本が万能ということはない。選び方の軸は「何を優先するか」で変わる。
- 流動性と知名度を優先するなら1489:純資産は2位の2倍以上、1口約3,596円と少額から買える。
- コストを最優先するなら1478・1651:信託報酬は年0.209%と最安クラス。1478は減配を避けるスクリーニング付き。
- 分配金の金額そのものを重視するなら1494:直近1年の分配金利回りは約3.3%で5本中トップ。ただし1口約43,100円と高い。
- 銘柄数の多さで分散を広げたいなら1577:70銘柄で等金額に分ける設計。ただ信託報酬0.352%は5本で最高。
5本の分配金利回り・信託報酬・決算月を比べると?
直近1年の分配金利回りは1494の約3.3%が最も高く、1489が約2.9%、1577が約2.8%、1478が約2.7%、1651が約2.2%と続く。信託報酬は1478と1651の年0.209%が最安で、1577の年0.352%が最も高い。利回りとコストは別物なので、表で並べて見るのが早い。
| コード | 正式名称 | 連動する指数 | 信託報酬(税込・年) | 銘柄数 | 決算月 | 純資産総額 | 直近1年の分配金利回り | 1口の価格 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1489 | NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信 | 日経平均高配当株50指数 | 0.308% | 50 | 1・4・7・10月 | 約5,780億円 | 約2.9% | 約3,596円 |
| 1577 | NEXT FUNDS 野村日本株高配当70連動型上場投信 | 野村日本株高配当70指数 | 0.352% | 70 | 1・4・7・10月 | 約2,239億円 | 約2.8% | 約59,310円 |
| 1478 | iシェアーズ MSCI ジャパン高配当利回り ETF | MSCIジャパン高配当利回り指数 | 0.209% | 34 | 2・8月 | 約1,489億円 | 約2.7% | 約5,455円 |
| 1651 | iFreeETF TOPIX高配当40指数 | TOPIX高配当40指数 | 0.209% | 40 | 2・5・8・11月 | 約1,089億円 | 約2.2% | 約3,447円 |
| 1494 | One ETF 高配当日本株 | S&P/JPX配当貴族指数 | 0.308% | 50 | 4・10月 | 約926億円 | 約3.3% | 約43,100円 |
数値の基準日:価格・純資産は2026年11月5日時点(1478の純資産は2026年10月31日時点、1494の純資産は2026年9月30日時点、1494の価格は2026年10月16日時点)。分配金利回りは直近1年の分配金合計を株価で割ったもの(1489は2026年の年間分配金104円÷3,596円、1478は2026年2月58円+8月88円=146円÷5,455円、1494は2026年4月688円+10月743円=1,431円÷43,100円)。価格と利回りは日々変わるので、買う直前に運用会社の公式ページで確認してほしい。
利回りだけ見ると1494が目立つが、理由は銘柄の選び方にある。1494は「10年以上、増配か配当維持を続けてきた会社」から選ぶ。1489・1577・1651は「予想配当利回りの高い順」に選ぶ。1478は利回りの高さに加えて、配当の継続性や財務の健全性でふるいにかける。同じ「高配当ETF」でも、選ぶルールが違えば入っている会社は別物になる。実際、5本すべてに入っている銘柄は大和ハウス工業の1社だけだ。
月1万円の分配金をもらうには、いくら必要?
1489の2026年の年間分配金104円をもとに計算すると、月1万円(年12万円)の分配金には約415万円、月3万円には約1,245万円、月5万円には約2,075万円の元本が目安になる。利回り3%でざっくり考えるなら、月1万円に400万円、月3万円に1,200万円、月5万円に2,000万円、月10万円に4,000万円。分配金は毎年変わるので、これはあくまで2026年11月時点の目安だ。
| ほしい分配金(月額) | 年間の分配金 | 必要な元本の目安(利回り3%の場合) | 1489で買う場合の目安 |
|---|---|---|---|
| 月1万円 | 年12万円 | 約400万円 | 約415万円(1,154口) |
| 月3万円 | 年36万円 | 約1,200万円 | 約1,245万円(3,462口) |
| 月5万円 | 年60万円 | 約2,000万円 | 約2,075万円(5,770口) |
| 月10万円 | 年120万円 | 約4,000万円 | 約4,150万円(11,539口) |
1489の欄は、2026年の年間分配金104円/口と2026年11月5日の価格3,596円で計算した(口数は切り上げ)。分配金は保証されないし、株価も動くので、同じ金額を入れても来年の分配金は変わる。ここで大事なのは、税金の扱いだ。特定口座では分配金に20.315%の税金がかかるため、手取りは上の金額の約8割になる。月3万円を手取りで欲しいなら、特定口座では約1,500万円の元本が要る計算だ。新NISAの成長投資枠なら分配金は非課税なので、1,200万円の枠を利回り3%で運用できれば、年36万円、つまり月3万円の分配金をそのまま受け取れる。枠の上限と分配金の関係は、NISAの記事でも整理している。
関連記事:新NISAの年初一括と12月の設定見直し|360万円の枠を無理なく使う5つのチェック
分配金を毎月のように受け取る組み合わせはある?
1489と1651を組み合わせると、決算月が1か月ずれているため、年8回(1・2・4・5・7・8・10・11月)に分配金を受け取れる。1489・1577の決算月は1・4・7・10月、1651は2・5・8・11月、1478は2・8月、1494は4・10月。1489だけだと年4回だが、1651を足すと空白の月が減る。1478と1494の組み合わせなら2・4・8・10月の年4回で、月が重ならない。
ただし、3・6・9・12月にはどの組み合わせでも分配金は入らない。毎月必ず入金が欲しいなら、個別株の配当月を足すなど別の工夫が要る。また、分配金を受け取るには決算日の2営業日前(権利付き最終日)までに保有している必要がある。決算月の直前に買っても、権利付き最終日を過ぎていればその回の分配金は受け取れない。
高配当ETFの落とし穴は?減配リスクとコスト
いちばんの落とし穴は、分配金が減ることだ。2020年のコロナ禍では、5本のうち4本で年間の分配金が前年より減った。高配当ETFの分配金は、組み入れている会社の配当から経費を引いた残りだ。会社が配当を減らせば、ETFの分配金もそのまま減る。「利回りが高い順に選ぶ」タイプのETFは、株価が下がって見かけの利回りが上がった会社も拾ってしまう。業績悪化で株価が下がった銘柄ほど利回りが高く見える、という裏側がある。
もう一つ見落としがちなのが、利回りの低下の意味だ。1489は2022年末から2026年10月末までに、株価が1,448円から3,531円へと2.4倍になった。同じ期間に年間の分配金は71円から104円へと1.5倍に増えている。利回りが下がったのは分配金が減ったからではなく、株価の上がり方が分配金の増え方を上回ったためだ。利回りの数字だけ見て「悪くなった」と判断するのは早い。
コストも長期では無視できない。100万円を保有した場合の信託報酬は、1489と1494が年3,080円、1577が年3,520円、1478と1651が年2,090円。30年保有したと単純計算すると、1489・1494は約92,400円、1577は約105,600円、1478・1651は約62,700円になる(残高一定と仮定した概算で、実際は日々純資産から差し引かれる)。同じ日経平均高配当株50指数に連動する399A(上場インデックスファンド日経平均高配当株50)は信託報酬が年0.165%以内で、100万円あたり年1,650円、30年で約49,500円と、1489より約42,900円安い。コストを最優先するなら、399Aも候補に入る。ただし純資産は2026年9月30日時点で約709億円と1489の8分の1ほどで、流動性では1489に及ばない。
上位の比較記事によくある間違いに注意
今回の調査で、上位に出てくる比較記事の中に、事実と違う記述が見つかった。1489・1577の決算月を「3・6・9・12月」、1478を「1・7月」と書いている記事があるが、正しくは1489・1577が1・4・7・10月、1478が2・8月だ(野村アセットマネジメントの月次レポート、JPXの銘柄概要で確認)。1577の信託報酬を「年0.308%」と書く記事もあるが、野村アセットマネジメントの月次レポート(2026年9月30日)では年0.352%(2026年6月24日現在)となっている。数字を載せる記事は、運用会社の公式資料で裏を取る習慣があるかどうかで信頼性が変わる。
新NISAで買うとどう変わる?
5本すべて新NISAの成長投資枠(年間240万円)の対象で、枠内で買えば分配金も売却益も非課税になる。特定口座では分配金に20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%+住民税5%)の税金がかかる。利回り3%で1,200万円を運用した場合、特定口座の手取りは年約28.7万円(月約2.4万円)だが、NISAなら年36万円(月3万円)をそのまま受け取れる。差は年7万円を超える。
注意点が一つある。分配金を非課税で受け取るには、証券会社で分配金の受取方法を「株式数比例配分方式」にしておく必要がある。登録配当金受領口座方式や個別銘柄指定方式では、NISA口座でも分配金が課税される場合がある。口座を開いたら、まず受取方法を確認してほしい。新NISAの枠の使い方については、こちらの記事も参考になる。
関連記事:こどもNISAとは?対象年齢・年間60万円の枠とジュニアNISAとの違いを解説
高配当ETFの買い方
証券口座を開き、新NISAの成長投資枠でコード(1489など)を検索して、1口単位で注文するだけだ。ETFは取引所に上場しているので、株と同じように取引時間中に売買できる。買う前に決めておきたいのは、枠をいくら使うかと、分配金の受取方法(株式数比例配分方式)だ。ETFのしくみ自体が初めてなら、入門記事もあわせて読んでほしい。
関連記事:ETF入門:投資信託との違いと初心者が知るべきポイント
まだ証券口座を持っていない場合は、口座開設から始めることになる。たとえば松井証券(広告)のように、国内ETFの売買手数料が無料のネット証券もある。口座開設には本人確認書類とマイナンバーが必要で、申し込みから取引開始までは数日かかるのが一般的だ。![]()
まとめ
日本株の高配当ETF5本を比べると、利回りの高さでは1494(約3.3%)、規模と流動性では1489、コストでは1478と1651がそれぞれ前に出る。どれか1本が正解ではなく、自分が何を優先するかで選ぶものだ。月いくらの分配金が欲しいかを先に決め、そこから必要な元本を逆算すると、買う金額のイメージがつかみやすい。月3万円なら利回り3%で約1,200万円が目安で、新NISAの成長投資枠の上限とちょうど重なる。買う前に、決算月と信託報酬だけは運用会社の公式資料で確かめてほしい。この記事の数字は2026年11月6日時点のもので、価格も分配金も日々変わる。
※この記事は投資の勧誘を目的としたものではありません。投資はご自身の判断と責任で行ってください。分配金の金額や利回りは将来を保証するものではなく、過去の実績は将来の成果を保証しません。数値は2026年11月6日時点の各運用会社の公表資料および市場データに基づきます。
よくある質問
買えます。この記事の5本(1489・1577・1478・1651・1494)はすべて新NISAの成長投資枠(年間240万円)の対象です。枠内で買えば分配金と売却益が非課税になります。分配金を非課税で受け取るには、受取方法を「株式数比例配分方式」にしておく必要があります。
流動性と買いやすさでは1489です。純資産は約5,780億円で1577の約2,239億円の2倍以上、1口も約3,596円と少額から買えます。1577は70銘柄で分散が広いのが利点ですが、信託報酬が年0.352%と5本で最も高く、1口も約59,310円と大きいのが難点です。
どちらも日経平均高配当株50指数に連動するETFで、中身はほぼ同じです。違うのはコストと規模で、信託報酬は1489が年0.308%、399Aが年0.165%以内と399Aのほうが安く、純資産は1489の約5,780億円に対し399Aは約709億円(2026年9月30日時点)と1489のほうが大きくなっています。
月10万円(年120万円)の分配金を利回り3%で得るには、約4,000万円の元本が目安になります(税引前)。新NISAの成長投資枠は1,200万円が上限なので、枠だけでは月3万円ほどの分配金が目安です。分配金は毎年変わり、保証されるものではありません。
特定口座では、分配金に20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%+住民税5%)の税金がかかります。新NISAの成長投資枠で買い、受取方法を株式数比例配分方式にしていれば非課税です。
出典
- 野村アセットマネジメント「NEXT FUNDS 野村日本株高配当70連動型上場投信(1577)月次レポート(2026年9月30日)」 https://www.nomura-am.co.jp/fund/monthly1/M1141577.pdf
- 日本取引所グループ「NF日本株高配当70(1577)銘柄概要」 https://www.jpx.co.jp/equities/products/etfs/issues/files/1577-j.pdf
- 日本取引所グループ「iシェアーズ MSCI ジャパン高配当利回り ETF(1478)銘柄概要」 https://www.jpx.co.jp/equities/products/etfs/issues/files/1478-j.pdf
- 大和アセットマネジメント「iFreeETF TOPIX高配当40指数(1651)2026年2月期決算短信」 https://www2.jpx.co.jp/disc/16510/140120260326589545.pdf
- 野村アセットマネジメント「NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信(1489)」商品情報・分配金実績(2026年10月分配金49円/口、2026年年間分配金104円/口)
- ブラックロック・ジャパン「iシェアーズ MSCI ジャパン高配当利回り ETF(1478)ファクトシート(2026年9月30日)」
- アセットマネジメントOne「One ETF 高配当日本株(1494)月次レポート(2026年9月30日)」
- 金融庁「NISAを知る」 https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/index.html
- 価格・純資産・分配利回りの市場データ(2026年11月5日時点) 1489/1577/1651
- 分配金利回りの年次推移・銘柄の重なりについて まぐ日記「日本の高配当株ETFは何が違う?純資産ランキング上位5本を比べてみた」
- 1494の分配金・リターンの詳細 invest-evolution「1494とは?One ETF 高配当日本株の中身と1489・1478との違い」



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